SPECIAL TALK 特別対談

“運ぶ”ということに
新たな付加価値を

神戸に本社を構え、建設機械部品や産業機械部品の開発や製造を行う株式会社兼廣さま。2018年に広島工場を竣工。材料の保管場所として、今井運送の倉庫をご利用いただいています。

現在は、倉庫の賃貸契約に加えて広島から神戸間の幹線輸送も今井運送が請け負っており、良い関係が築けているといいます。しかし、今後お互いが発展していくためには、さらなる展開が必要です。

そこで、日頃から緊密な連携を取り合っている弊社の常務取締役・今井と、株式会社兼廣の専務・橋本氏の対談を実施。これからの展望や課題を伺いました。

CAST キャスト

橋本 雄輔Hashimoto Yusuke

株式会社兼廣

大手建設機械メーカーのグループ会社で約7年間経験を積んだのち、2015年に家業である株式会社兼廣に入社。2020年に取締役・専務執行役員に就任する。現在は、営業や財務関連、製造全般の業務を担当している。

今井 廣志Imai Hiroshi

今井運送株式会社

1998年にドライバーとして入社する。その後、配車業務に携わり、2013年から常務取締役のポジションに就任。主に、倉庫事業や広島県外にある営業所の管理、車両管理、事故対応といった業務に従事する。

01 CHAPTER 共通の知人を介しての出会い

CHAPTER01

共通の知人を介しての出会い

まずは、お二人の出会いから教えてください。

今井

初めてお会いしたのは2018年くらいですかね。

橋本

そうですね。株式会社兼廣の本社は兵庫県神戸市ですが、2018年に広島工場を設立しました。工場がどんどん手狭になる中、どこか倉庫を借りないといけない状況になりまして…。前職の伝手を使って別の会社に相談したところ、そちらの専務から今井運送さんを紹介してもらいました。

今井

紹介してくださった専務というのが、僕の親分みたいな存在の方で(笑)同業者同士で情報交換をしている中で、兼廣さんのお話を伺ったんです。そして、実際に弊社の倉庫をお借りいただきました。

橋本

前職で7年間、広島で働いていたときに感じたのが、広島は地元企業同士の結束が非常に強いということ。そんな中、兵庫県に本社を構える企業がパッと入ってきたときに快く話を聞いてくださり、今井運送さんには本当に感謝しかありません。

今井

我々も同じですよ。ちょうど弊社も倉庫を竣工したタイミングでした。実際に倉庫を建てたのはいいものの、物がほとんど入っていない状況で…。橋本専務は親身になってお話を聞いてくださり、合意に至るまでの決断も早かったです。そこは僕らも恩義を感じています。

02 CHAPTER 働く人に負担が少ない環境を構築

CHAPTER02

働く人に負担が少ない環境を構築

現在は一緒にどんな取り組みをされているのでしょうか?

今井

当初は倉庫の入居のみでしたが、現在は神戸と広島間の幹線輸送も弊社が請け負っています。輸送モードを変えていただき、現在に至るという感じです。

橋本

もともと月曜から金曜まで神戸・広島間を走らせていましたので、そこを倉庫と合わせてやりましょう、と今井運送さんからご提案いただきました。ただ、夜神戸を出発したトラックが広島に到着するのは早朝です。その時間に我々は出社していないので、荷受けまで今井運送さんにお願いしています。

今井

逆に、荷卸し作業を終えたドライバーはそのまま神戸に戻ってしまうので、今度は兼廣さんの工場でタイムスケジュールなどを伝えていただくこともあります。双方にメリットがあり、なおかつドライバーに負担がかからない環境を一緒に作っています。

橋本

それはありますね。会社が違うからここまでしかやらない、というのはちょっと違う。お互いの担当者同士が密に連絡を取り合いながらやっていますので、現場間での貸し借りみたいな感じに自然となっていますね。

今井

我々は昔から倉庫事業をやっていましたが、一般的な倉庫業というスタイルではなく、荷主さま企業とコラボしながら倉庫運営をするというのが当初の狙いでした。そういったところが今に至り、兼廣さんとはいい関係性を築かせていただいています。

03 CHAPTER 運送・保管に加えて、部品のアウトインの管理も

CHAPTER03

運送・倉庫業に加えて、部品のアウトインの管理も

お互いがさらに発展していくためには、どんなことが必要だと思いますか?

今井

僕らは運送業なのでメインの仕事は運ぶこと。兼廣さんは製造業なので造ることがメインの仕事になると思いますが、こうした役割分担がある中で、我々がどこまで関われるかが重要になると思います

橋本

現在、今井運送さんとは幹線輸送と倉庫の賃貸契約をさせていただいていますが、倉庫内の製品のアウトインまでお願いできると、我々としては非常に助かります。

今井

そうですね。運ぶことがメインといいながらも、運ぶだけではなく手広くやっていかないと新しい未来を創ることは難しいでしょう。

橋本

例えば、入ってきた製品を棚に格納したり、依頼があった製品をピッキングしてジャストインタイムで広島工場に届けていただいたりとか。我々は今のモノづくりのシステムをそういう風に構築していっていますので、今井運送さんとももっとコラボしながらできれば一番だと思っています。

今井

AIロボットを倉庫内に入れたりする方法もあるのですが、その初期投資ってトラックが1台借りられるくらい費用がかかってしまうんですよね。だから、トラックドライバーがある程度ピッキングしたり、倉庫の作業員が空いた時間に対応したり。そうすることで、運送に新たな付加価値をつけるというところにもつながりますね。

橋本

弊社が造る製品すべてとなると3万アイテム、子部品を合わせるともっとあります。それはちょっと大変だと思いますから、まずは広島から。広島工場に関わるものを今井運送さんに預けられたらいいですね。

今井

仮に、兼廣さんがピッキング業務に5名人員を割いているとして、弊社がそこをサポートできれば、その5名は製造に特化できるわけですよね。

橋本

そうですね、それは非常に助かります。

今井

兼廣さんにとって最善の利益であって、僕らも“運ぶ”ということに新しい付加価値を付けることができるので、双方にとってメリットが大きいですね。

橋本

部品を動かすこと全体を考えれば、もっと付加価値が上がるようなことができて、新しい展開が見えてくるかもしれません。

04 CHAPTER 双方の従業員が能力を最大に発揮できる環境づくり

CHAPTER04

双方の従業員が能力を最大に発揮できる環境づくり

今、課題に感じていることはありますか?

橋本

我々の一番の課題は人材。兼廣はほぼ製造業で成り立っている会社ですので、志望する人も製造希望者が多いです。製造と思って受けにきた子に「実は募集しているのはフォークマンなんです」となると、採用のミスマッチが起きてしまいます。

今井

僕らは人数が少ないとはいえ、運送と倉庫業をやっているため、トラックの運転はしたくないけど倉庫業ならやりたいという若い世代の子たちが結構いるんですよ。

橋本

そういう方を倉庫作業員として専任で付けてもいいかもしれませんね。

今井

確かにそうですね。あとはドライバーを引退された方とか。もしくは外部のパートナー企業さんにお願いするという方法もあります。その倉庫にとって無駄なコストじゃなければ、多少高くてもやってみる価値はあると思います。

橋本

正直、仕事はあるけど人材や材料の保管場所が足りないというのが我々の課題なので、そのあたりを今井運送さんにサポートしていただけると、もっと生産性を上げられます。

05 CHAPTER 長期ビジョンを共有しながら新たな展開を

CHAPTER05

長期ビジョンを共有しながら新たな展開を

お二人が思い描く理想の未来とはどんなものですか?

橋本

この先、団塊世代がどんどん引退し、人材不足や材料置き場の確保というのが大きな課題になってくると思います。今井運送さんとは、今後も一緒にこうした課題を解決していきたいと思っています。例えば、我々が中期経営計画を出す際、“この部分は今井運送さんとコラボします”とか、“これだけの規模の工場を造るから、5年後にこのくらいの規模の倉庫をもっておきましょう”とか。目標を一緒に共有していけるといいですね。

今井

これはすごく必要だと思います。そして、重要になるのがやはり役割分担。兼廣さんが造る人、僕らはピッキングして運ぶ人。ラストワンマイルも含めて、我々がそうしたサイクルをコントロールしていけたらいいと思います。

橋本

例えば、製品が仕上がるタイミングで今井運送さんにトラックを用意してもらい、エンドユーザーへリードタイムで届けることができると理想ですね。

今井

そのために、倉庫のレイアウトを変えるなど、プランニングからやっていくのが今の運送会社に求められていることだと思います。今の若い子たちは、僕らにはない発想をもっていて、よりよい仕組みを自然に作り上げてしまいます。そういう発想を取り入れながらやっていけば、IMAI VISIONの新たな展開が生まれそうですね。