SPECIAL TALK 特別対談
ITを活用して、
人々が働きやすい環境を構築
運送業は、まだまだFAXが主流になっているような超アナログな業界です。今井運送は、3年ほど前から専任のシステム担当者を置き、DX化に向けた取り組みを行っています。
その一環として、2022年10月よりRPA構築した車番連絡票の導入を検討。ともに取り組みを進めていくパートナーとして、ドイツに本部を置き、山口県岩国市に工場を構えるアルマティス株式会社さまに協力を仰ぎました。
今回は、今井運送でこのシステム開発を進める西本が岩国工場を訪れ、アルマティス株式会社・日本法人の代表を務めるシャオ・スティーブ氏と対談。車番連絡票システムの使い心地や今後の展望などを伺いました。
CAST キャスト
シャオ・スティーブSiao Steve
アルマティス株式会社
2006年にアルマティス株式会社へ入社。同時に山口県岩国市へ配属となる。当時は経理を担当していたが、2016年に経理部署から工場長へ就任。現在は、アルマティス株式会社日本法人代表を務める。
西本 智久Nishimoto Tomohisa
今井運送株式会社
2006年に今井運送へ入社。3年間配車業務に従事し、経営企画部へ異動。従業員への安全教育や営業所の管理などを担当する。その後、現在の人事部に配属となり、新卒・中途採用や給与計算業務をしながら、業務効率化につながる取り組みにも力を入れている。
01 CHAPTER 耐火物原料を岩国工場から全国へ輸送
CHAPTER01
耐火物原料を岩国工場から全国へ輸送
アルマティス株式会社さまとの関係を教えてください。
もともと、大手企業がアルマティスさまの配送を担当されていたのですが、そこと並行して弊社が入らせていただき、お取引がスタートしたのが始まりです。
岩国工場で作っているのは耐火・耐熱工業材料。焼結アルミナという製品です。非常に高品質で耐熱性の高い製品で、主に耐火物メーカー様からご注文をいただいております。
主に原材料を造られているんですよね。一般の方はなかなか目にする機会がないため想像しづらいと思いますが…。
そうですね。アルミナと聞いてアルミニウムを想像される方もいるでしょう。アルミニウムは、アルミナの次のステップとして作られるものです。アルミナは粒や粉のような形状の原材料です。
岩国工場で作られた焼結アルミナを、全国に納品するのが私たちの役目です。陸上輸送に関しては弊社にご依頼をいただいています。
02 CHAPTER アナログ作業を減らすためRPAを導入
CHAPTER02
アナログ作業を減らすためRPAを導入
新しい取り組みに挑戦されているようですが、どんな内容でしょうか?
今まで、オーダー表や車番連絡票はFAXでやり取りしていたのですが、自動化できるシステムを今井運送さんからご提案いただきました。
現在、手作業で行っているルーティン業務を自動化できれば便利だなと思いまして。そこで、コンサルタントにも入ってもらい、弊社でRPA構築したシステムをアルマティスさまとのお取引でテスト導入させていただいているところです。
今は弊社からFAXでオーダー表を送り、今井運送さんが車番などを記入したものをFAXで返送してもらうというアナログな処理が多く、正直大変だなと感じていました。だから、こうした提案をいただいたときは嬉しかったです。
弊社も含め、ITが普及する中でも、運送業はまだまだアナログな作業が多いと感じています。まだこのシステムは完成したわけではなく、多少の改良が必要なのですが、FAXと併用しながらテスト運用を行っている状態です。システムが完成すれば、弊社の社内での処理はもちろん、アルマティスさまの負担も軽減できるのではないかと考えています。
03 CHAPTER RPA導入のきっかけは社内の業務効率化
CHAPTER03
RPA導入のきっかけは社内の業務効率化
なぜ、車番連絡票をシステム化しようと思ったのでしょうか?
私が今井運送に入社して、配車や安全管理、給与計算など、さまざまな業務を経験した中で、配車業務が一番しんどかったんです。「配車板」というシステムに、積み地、卸し地、車両ナンバーなどを登録したのち、お客さまへFAXでお送りするために同じ内容をエクセルに入力。それが毎日何十件もある状態で、今の配車担当者も苦戦しているところでした。同じ作業を繰り返していることに疑問をもち、なんとかしたいと思ったのがきっかけです。
取り組みのきっかけは、御社の業務効率化というところからスタートしたのですね。
そうですね。実際に取り組みをスタートしようとしたときに、まずはたくさんオーダーをいただいているアルマティスさまと一緒に進めていきたいと思い、ご相談させていただきました。
FAXでのやり取りは手間がかかり、私たちも社員の作業時間を削減するにはどうするべきか、というのが直近の課題でした。しかし、いいアイディアが浮かばなかったときにこうした提案をいただき、本当に助かりました。
一方的にこちらからお願いするだけではなく、アルマティスさまと直接お話する機会を設けていただいたところ、実はお困りのことがたくさんおありで。アルマティスさまのご要望も反映して一緒にこの取り組みが進められたら、双方にとってWin-Winな関係が築けるのではないかと思っています。
システムが完成すると便利になりそうですね。メールでPDFファイルをやり取りする形になるため、ペーパーレス化や従業員の業務効率化にもつながります。それにしても、人事の方がこうした提案ができるのはすごいですね。
弊社にはシステム担当者が1名いるのですが、システム担当者だけではなく、実務担当者もしっかりと目的意識をもってお客さまと一体になってDX化を進めたいと思っています。今回のRPA導入は、私と財務を担当している課長が中心になって進めています。
弊社はITチームが海外にあるため、積極的にDX化ができないというのが現状です。システムを導入したいけど、なかなか進みません。
自社だけではなく、今後もお客さまのご要望に応えられるような体制を作っていこうと思いますので、なんでもご相談ください。
04 CHAPTER 運送業界全体や荷主さまの効率化を図れるシステムを
CHAPTER04
運送業界全体や荷主さまの効率化を図れるシステムを
他にやってみたい取り組みなどはありますか?
先ほど、現場で御社の社員さんとお話しさせていただいたとき、「トラックの到着時間がわかるといいな」とおっしゃっていました。今は「16時くらいまでに到着します」という感じでお伝えしていて、正確な時間まではわからないんですよね。
私の勝手な想像ですが、GPSみたいなものをトラックに付けるとか。私たちの荷物を積んだトラックが、今どこを走っているかがわかるといいですね。
自社用のGPSは各トラックに付いていて、どのあたりを走っているかを把握することは可能です。ただ、その画面をお客さまに出すとなると、すべてのトラックの情報がわかってしまうため、なんらかの工夫は必要ですが、検討していく価値はありそうです。
それができたらすごいです。弊社も納品先のお客さまに、製品が何時ごろ到着するかをお伝えできると、より便利になると思います。
今すぐに、というのは難しいかもしれません。しかし、ゆくゆくはそういったサービスを開発し、社内の効率化だけではなく、運送業界全体や荷主さま企業の業務の効率化に貢献できるといいですね。
05 CHAPTER 最終目標は、ひとつのシステムですべての情報を一元管理
CHAPTER05
最終目標は、ひとつのシステムですべての情報を一元管理
最後に、今回の取り組みをきっかけに、どんな未来を作っていきたいですか?
業務効率化のために、まずは車番連絡票のシステム構築からスタートしましたが、今後は注文の受領から請求書の発行までを一貫してシステムで管理できるといいかもしれませんね。
それはいいですね。例えば、納品先のお客さまからオーダーが入るとそのシステムに届き、今井運送さんと弊社で共通で使えるようなシステムがあると便利です。
アルマティスさまくらいの規模の企業だと、陸上トラック以外の輸送も動いている状況だと思います。弊社の理想としては、陸上輸送のみならずすべてのお客さまのオーダーを一括管理できるシステムを開発し、業務の効率化に貢献できればという淡い希望はありますね。
現状は、社内でもオーダーを受けるチームと輸送を行うチームで、見ている情報が違うんです。工場の従業員はオーダー情報が届いたら今井運送さんに連絡して配送を手配します。その後、今井運送さんから届いた情報をオーダーチームに連絡。オーダーチームはその情報を納品先のお客さまに連絡するという状況で、非常に無駄な作業が多いと感じています。今井運送さんと弊社で情報をシェアできたら効率化につながりますね。
RPAを完成させるのがゴールではなく、次のステップとしてお互いが効率よくビジネスできるようなシステムを一緒に作っていきましょう。